身代わり姫君の異世界恋綺譚
「清雅、何かあったのか?」

普段はのほほんとしている清文だが鋭い視線を清雅に向けた。

「え? いいえ、……はい」

清雅は清文の部屋へ行き、紫鬼とのことは伏せ、忠臣親王に攫われ襲われかけたことを話した。

そして今朝突然元の世界へ戻りたいと言ったことも。

「……そうか」

清文は腕を組み考え深げに頷いた。

「清雅、真白が探す穴というものをお前も一緒に探してやりなさい」

愛娘に良く似た真白を気に入っていたが、彼女の心を考えると自由にさせてやりたいと思う。

――帰れるものならば帰してやりたい。

「……分かりました」

< 232 / 351 >

この作品をシェア

pagetop