身代わり姫君の異世界恋綺譚
その嵐は紫鬼が原因だ。

清蘭を真白の身体から祓うことのできない憤りで知らず知らずのうち嵐を呼んでいた。


『酷い怒りよのう、紫鬼様』

熱で苦しそうに寝ていた真白の目が開いた。

真白の髪と瞳が黒に変わっていた。

そして今まで起き上がることの出来なかった身体が起き上がる。

『昼間はまったく動けないで可哀想よのう』

フフフと笑みを漏らす清蘭。

「清蘭、何が望みだ?」

『わらわの望みは申しておる。紫鬼様、貴方様に抱かれたいのじゃ。そしてずっとお側にいることじゃ』

細い指が紫鬼の頬に伸びる。

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