身代わり姫君の異世界恋綺譚
「病院よ。突然意識を失って、驚いたわ」

気を失った時のあの酷い状態より落ち着いた娘を見て安堵した表情になる。

「あ……」

再び紫鬼を思い出してポロポロと涙が頬を濡らす。

「真白……」

――娘はおかしくなってしまったの?早く診てもらいたい……。

「泣かないで。何も聞かないから心を静めてちょうだい」

母親は真白の長い髪を撫でた。

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