身代わり姫君の異世界恋綺譚

翌朝、清雅と一緒に黒髪を後に一つで束ねた女性が真白の部屋を訪れた。

「真白、お前の女房の桔梗だ。身の回りの世話をしてくれる」

桔梗という女房は、真白を見て驚いた顔になった。

「私の……女房？　清雅のお父さんの女房なら、清雅のお母さんじゃないの？」

「まったくお前はやはり頭がおかしい。女房は身の回りの事をしてくれる女だ」

――なんだ……女房って言うから……。

清雅に朝っぱらからバカにされて真白の頬はプクッとふくれた。

清雅と真白のやり取りを聞いていた桔梗は目を見張った。

――清雅様が笑っている。

小さい頃からお世話をしていたが、ほとんど笑わず、常に陰陽師のきつい修行に耐える小さな陰陽師。

そのせいで１０歳なのに子供らしくなく成長してしまった。