身代わり姫君の異世界恋綺譚
「さあ、出来ました」

桔梗に言われて、真白は腕を広げ着付けられた着物姿を見下ろす。

薄萌黄色の着物は意外と涼しい。

それは昨日真白が清文にリクエストした男の子の着物。

袴で動きやすいのも良い。

「男の子みたい♪」

「本当に女子(おなご)の着物でなくて良いのですか?」

男児のような真白の姿に桔梗は不服そうだ。

「はい。この方が動きやすいですし」

もう一度、腕を広げくるっとその場で回って見せる。

清雅は首におおきな石の付いたネックレスみたいなものをぶら下げているのを思い出した。

――そういえば……紫鬼はみんなとは違う着物だったな。
きれいな……なんて言ったらよいだろう……紫が綺麗で……桃色の襦袢?分からないけど……普通の着物を崩してきている。

そこで我れに返る。

――なんで紫鬼の事を考えちゃうんだろう……。そういえば、昨日、傷をすべて治してくれてから会っていないな。清雅の言う通り、私は紫鬼が気になっているんだ……。

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