身代わり姫君の異世界恋綺譚
「おい、こんな所に穴があるぞ。寺の敷地に入れそうだ。女を連れて行こうぜ」

「OK!」

男は暴れる真白の腹部を拳で強く殴った。

「うっ!」

かなりの力だったようで、真白の意識が朦朧としてくる。

――ダメ……。
パパ、ママっ! 助けて!

どこかへずるずると引きずるようにして連れて行かれてしまう。

身体が麻痺したように動かなくて、抵抗できない。

「ほら! 入れよ!」

人がひとり入れるくらいの穴の中に、少年は真白を頭から乱暴に押し込もうとした。

「いやっ!」

ひとりが入れるくらい塀の穴に顔を突っ込む形で、お尻を後ろからグイグイと押される。

コンクリートで服が擦れ、スカートのその下の肌に傷がついていく。

「っ……」

――このまま襲われるわけにはいかない……。

壁の穴に押し込められた真白は、ドサッと草の上に落ちた。

――逃げなきゃ……。

少年たちが穴から入ろうとしているうちに、逃げようとふらつく足で立ち上がる。

身体を起こすと、震える足元がふらついた。

――早く! 男たちが来る前にっ!

壁から離れようと歩き始めると、真白はなんとなくその場の雰囲気に違和感を感じた。

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