身代わり姫君の異世界恋綺譚
――しずしずとした所作は、真白とは大違いだな。

ふと、真白を思い出す。

口を開けば質問ばかりするし、十二単を嫌い自分と同じ格好をする。

「山吹殿、お悩みとは何でしょう?」

清雅は意識を山吹に戻して聞いた。

「はい……私がお仕えする琴姫様のことです」

――琴姫様か……確か御年は16歳、美しく琴を弾かせれば右に出る者はいなく、物静かでまだ殿方との噂も聞かない深層の姫君。

「琴姫様がどうかされたのですか?」

清雅は聞いた。

「毎夜、ご様子がおかしくなる気がするのです。いつもはお優しい言葉遣いなのですが、突然高飛車な口調になり……どこが変と言うわけではないのです。ですがなぜか違和感が拭えずこちらにご相談に参りました」

心配そうな顔で山吹は2人に説明した。山吹もどう説明したらわからず戸惑いの表情を浮かべている。

< 73 / 351 >

この作品をシェア

pagetop