身代わり姫君の異世界恋綺譚
◇◆◇

真白の歩くペースが極端に遅くなった。

それほど歩いていないはずなのに、身体が鉛のように重くなったのだ。

――これって……穢れのせい?

呼吸も乱れ、大きく息を吸う。

塀に手を付くが、立っていられずそのままずるずると地面に座り込む。

「わーっ! 鬼だぁ!」

真白の耳に叫び声が聞こえた。

――鬼って、私の事……?

意識が朦朧として目を開けられない。

ガツッ!

「痛っ!」

頭に石のような固い物が当たり、真白は悲鳴を上げた。

「鬼だー! 鬼だー!」

周りで騒いでいる声が徐々に聞こえなくなった。

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