身代わり姫君の異世界恋綺譚
突然、真白は何かの力で大きな木に向かって飛ばされた。
何が起こったのかもまったくわからないまま真白は太い幹に背を打ちつけ、意識を失った。
清雅は木の根元に倒れる娘を驚いた。
陰陽師の血を強く引き継ぐ清雅は、暗闇でも不自由なく見える。
「この髪の色は……鬼?」
明るい茶色の髪。
この世界では黒髪と白髪が普通。
ただし、紫鬼は別だ。
清雅が一番信頼している男の紫色の髪を思い浮かべた。
清雅は気を失った少女の髪を一房すくってみる。
さらさらと指の間から零れ落ちていく感覚。
そしてまじまじと着ている服を見る。
――な、なんなんだ? この着物は……?
清雅にとって、真白の着ていたピンク色のコートは初めて見るものだった。
何が起こったのかもまったくわからないまま真白は太い幹に背を打ちつけ、意識を失った。
清雅は木の根元に倒れる娘を驚いた。
陰陽師の血を強く引き継ぐ清雅は、暗闇でも不自由なく見える。
「この髪の色は……鬼?」
明るい茶色の髪。
この世界では黒髪と白髪が普通。
ただし、紫鬼は別だ。
清雅が一番信頼している男の紫色の髪を思い浮かべた。
清雅は気を失った少女の髪を一房すくってみる。
さらさらと指の間から零れ落ちていく感覚。
そしてまじまじと着ている服を見る。
――な、なんなんだ? この着物は……?
清雅にとって、真白の着ていたピンク色のコートは初めて見るものだった。