身代わり姫君の異世界恋綺譚

金縛り状態で、結局はしばらく唇を塞がれていた真白。

呪縛から解かれた真白は、布団の上に座ってうつむいて泣いていた。

紫鬼のおかげで穢れは祓われ、身体は元気になった。

だが、真白は泣いていた。

「……そんなに嫌だったのか?」

泣いている真白を見て困り果てている紫鬼は聞いてみる。

「うっく……」

何が悲しくて泣いているのか、真白は自分でも分からなかった。

今日はいろいろな事がありすぎた。

この世界で受け入れられない自分はいったいなんなんだろう。

元の世界へ帰りたいだけなのに……帰ることが出来ない。

――紫鬼のキスは嫌じゃない……。だけど……。

彼がいた事がない真白にはファースト・キスだ。

前にも紫鬼に口付けされたことを知らない真白は、目が覚めるとキスをされていたことにショックを受けていた。

< 94 / 351 >

この作品をシェア

pagetop