身代わり姫君の異世界恋綺譚
「紫鬼、紫鬼、真白の泣き声が聞こえるが、どうしたのじゃ!?」

御簾の向こうから清雅の慌てた声がした。

その声にビクッと肩を震わせると、真白は涙で濡れた顔を上げた。

紫鬼が黙って布を真白に渡す。

「……」

「紫鬼、どうなのじゃ!? 真白は治ったのか!?」

中からは何も言葉がない為に、清雅のイライラが伝わってくる。

「入るぞ!?」

清雅が御簾を上げて入って来た。

真白は布団の上に座って、目を真っ赤にしていた。

「真白っ! なぜ泣いているのじゃ?」

真白から側に座る紫鬼に視線を移す。

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