身代わり姫君の異世界恋綺譚
「な、なんでもないっ……まだ調子が悪くって……」

真白はとっさに嘘を吐いていた。

「そうか、腹が減っただろう。すぐに食事を持ってこさせるからな」

紫鬼は片方の膝を立たせ座り真白を見つめている。

紫鬼に見つめられている真白は、清雅が布団を畳み隅に置いているのをぼんやり見ていた。

「何を見ているのだ?」

清雅は手を止めて真白の顔を見る。

「清雅って綺麗好きなんだね?」

「当たり前の事だ」

真白に褒められて、少し照れたような清雅は鼻の頭をぽりぽりとかいた。

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