ルイ~涙~
恐怖感。

*圭伍side*





――ガチャッ



「ただいま…」





誰もいなくて静まり返った家に、今日もまた声をかける。





もう、これが当たり前で。


慣れた。別に、なんとも思わない。







玄関の傍の柱に目がいった。


そこには、幼い頃の俺の身長の印があった。






 “けいご2さい―83cm”


 “けいご3さい―94cm”


 “けいご6さい―116cm”






「…そういや、目につくところに書いたっけ…」







 “圭伍13歳―158cm”







そこで、止まってる。


それ以降は――書かれていない。






「…うわ。俺、こんなに背ぇ伸びたんだな」






人差し指で、一年一年の自分の身長を辿る。


悲しいのは……自分ひとりしか書かれてないってことだ。





普通は、兄弟とか、親とか……一緒に書くだろう。






その柱を見るたびに、自分は一人なんだって…実感する。








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