他人の彼氏
どん底

いつものように職場へ向かうと、

会社前に 異常な人だかりがあった。


「藤崎さん!」

その人だかりをかきわけ
会社の方に行こうとした途端


たいして仲も良くない事務の人に

急に慣れなれしく呼び止められ

私、何かしたんだろうか。

なんて ふと考えてしまったけれど


そんな考えは無用だと分かったのは その直後の事だった。



「夜逃げしたんだってよ!」


得意気に そう話すけれど
何の事だか さっぱり分からない。


「・・・何が?」


「社長よ!ギャンブルで借金作って
会社のお金も全部 パァみたい」



・・・はい?


「という事は・・・・
給料は・・・?」


そうだ、明日は給料日・・・・


その為に 頑張って働いてたのに・・・。
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