他人の彼氏
「言われてたというか
泣かれてたというか・・・」


「あー、あの女の得意技だもんね」


そう言いながら
笑っている。


「得意技・・・?」


「すーぐ泣くからね。
ほら、あの子
黒髪で純情そうな顔してるでしょ?
あれで泣かれると
男なら、大抵
コロッといっちゃうからね」


「なるほど・・・・・」


「居候ちゃんも
その茶色の髪を黒にしてー
ピアスも外して
その、ぼーっとした感じをなくして
すぐ泣くように涙を準備して
服装も、純情そうな格好したら
そこら辺の男
騙せるんじゃない?ははは」


という事は、
今の私は
純情そうな、あの彼女とは
正反対という事なんだろうか・・・


そんな事を言われたら

私は

笑うしかないじゃないか・・・


「そういえば、さやかさんは・・?」


「さやか?んー
デートって言ってたっけ?
今頃、ラブホで
いいことしてんじゃない?」


「いいことって・・はは・・・」


「でー、伸治と
ちゃんと話できたの?
それともやよいちゃんに邪魔された?」


邪魔はされたというか・・・
されたような気もするけれど・・・


きちんと話はできたわけだし・・・


「ちゃんと、話できました。
隣の部屋に
あさってから住んでいいって事で・・」


「隣に!?
うわぁ・・面倒臭そう・・」


面倒臭い・・・?


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