他人の彼氏
「・・・なら、
俺と、こんな事すんのは
意味ないって事か?」


「それは・・・・・」


「好きな奴としか
キスできませんって言ってたのは
ウソなのか?」


そんな事を言われても・・・


彼女がいる男に
自分の気持ちをぶつけても
どうにかなるわけでもないって
分かっているわけであり、

自分の思いを伝えて
困らせてしまうのも分かってて・・・


分かってるんだけど・・・



「好きじゃなかったら
こんな事・・・
できるはずないじゃん・・」


もう、誤魔化すなんてできなくて

小さな声で、そう言うと

反対側を向き、布団を頭から被った。



黒崎伸治が、今

何を考えて、どんな表情をしているか
分からない。


ただ、見るのが怖かった。


困った表情を一瞬でも見てしまったら

きっと、言わなければ良かった。


その後悔に押しつぶされてしまう気がした。


現実を見るのが怖かった。



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