他人の彼氏
そして、

「はい、居候ちゃんの出番」


そう言いながら
私の背中を叩いた。


「え・・・?」


何が何だか分からず
楓さんの顔を
ただ見るしかない・・・。


「居候ちゃんは
どう思う?」


どう思うって・・・

どう・・・

答えれば・・・


「・・・・・・・」


何も答えられない私に


「じゃあ・・・・
やよいちゃんってさ
知り合いも誰もいない土地で
一人じゃん?
可哀想だと思う?」


そっと頷き
楓さんの顔を見ている。


「うん、じゃあ
伸治は、ちゃんと
帰った方がいいよね?」



帰った方が・・・・


・・・頷けない。顔が見れない。


「はぁ・・・・
居候ちゃんもダメなの?
もう・・・
勘弁してよォ・・・」


こうしてる間にも
楓さんのバッグの中で
バイブ音が
ひっきりなしに聞こえてくる。





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