他人の彼氏
その姿に
思わず、黒崎伸治の手を
振りほどくように
離そうとするけれど、

強く握られた手は
更に力が込められ
じっと握られている。


そして、力が込められたと同時に


「やよい・・・悪い・・・
話できるか・・?」


苦しそうな表情をしている
黒崎伸治も目の前にいて・・・



「やだ、嫌。
話す事なんてないもん。」


大きく首を横に振り
涙が目に溢れ
顔を伏せて
座り込んでいる彼女の姿が


やっぱり
重く圧し掛かり
この強く握られた手を
思い切り振りほどいて
逃げてしまいたいほど
罪悪感に押しつぶされてしまっている。


そんな私に気づいているのか、

握られた手は
痛いくらいの力で
握られ



「こいつじゃないとムリなんだ。
他の事ならできる限りする。
だから・・・俺を解放してくれ・・」


「やだ、やだ。やだ。絶対いや。
何で私じゃダメなの?
妹だから?ねぇ?」



そう言いながら

勢い良く立ち上がり
涙がこぼれ
黒崎伸治に詰め寄ってきた。

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