他人の彼氏
いろんな可能性を考えながら
家の中に入ると、


「あれ・・・・
何で、仕事だったんじゃ・・?」


黒崎伸治が、ベッドに横になったまま
テレビを観ている。



「お前のせいで行く気失せた」



不機嫌な様子で
ベッドから立ち上がると
私の前で立ち止まり


「こんな仕事すんなら
俺の相手した方がマシじゃねぇの?」


そう言いながら

怪しげなおじさんからもらった名刺を渡された。


もしかして・・・・

いや、もしかしなくても、


「さっき、
この人に電話したのって・・・」


「上着忘れて行ったから
一応、追っかけて出たけど
見当たんねぇし。
そしたら、ポケットに
んなもん入ってるし。
そこまでバカじゃねぇだろうと
電話してみたんだけど
まさか、実際会ってるとは・・
マジで呆れて
何も言えねぇんだけど?
好きじゃねぇとキスもできませんって女が、風俗っすか?
お前、頭ん中おかしいんじゃねぇの?」


上から睨みつけるように
私を見下ろしている。








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