その男、小悪魔につき。【停滞中】
5、4、3、2、1……
18時ぴったりになると、真緒は私に目配せをしてオフィスを出ていった。
あの後結局、真緒に断るタイミングがなくこの時間になってしまっていた。
やっぱりちょっと体怠いし、真緒に一声掛けて断ろう。
そう思って真緒のあとを追うようにオフィスを出た時、後ろから声をかけられた。
「行くんですか?」
「へっ?」
振り返ると壁にもたれて腕を組んだ千尋くんが立っていた。
「あ、えっと……」
やっぱりあの時聞こえてたのか。
「今夜合コンに、行くんですか?」
わざと合コンの部分を強調して尋ねられる。
「えっと……」
今から真緒に断りに行くつもり、と口に出しかけたが、何だかそれだと負けた気がして咄嗟に嘘をついた。
「は、早く終わったし、たまには飲んで帰るのも良いかなーって。」