その男、小悪魔につき。【停滞中】



5、4、3、2、1……


18時ぴったりになると、真緒は私に目配せをしてオフィスを出ていった。


あの後結局、真緒に断るタイミングがなくこの時間になってしまっていた。


やっぱりちょっと体怠いし、真緒に一声掛けて断ろう。


そう思って真緒のあとを追うようにオフィスを出た時、後ろから声をかけられた。



「行くんですか?」


「へっ?」


振り返ると壁にもたれて腕を組んだ千尋くんが立っていた。



「あ、えっと……」



やっぱりあの時聞こえてたのか。


「今夜合コンに、行くんですか?」


わざと合コンの部分を強調して尋ねられる。


「えっと……」


今から真緒に断りに行くつもり、と口に出しかけたが、何だかそれだと負けた気がして咄嗟に嘘をついた。



「は、早く終わったし、たまには飲んで帰るのも良いかなーって。」



< 57 / 110 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop