その男、小悪魔につき。【停滞中】

#004




千尋side



気に食わない。



俺の視線の先には彩月先輩。



そう呼ぶなと言われて少しムッとした俺は、何となく距離を置いてみたが彩月先輩からは何の反応もなし。



今だって他の部署の男と笑顔を交えながら話している。


……気に食わない。


彩月先輩は愛らしい顔立ちをしていて、男女問わず慕われていてこんなことは日常茶飯事だ。


しかし彼女の白い肌、黒目がちな瞳、華奢な肩……


それらは男からの視線を集めてしまっている。



「はぁ。」



別に好きという感情があって付き合っているわけではないはずだった。


なのに俺はいつの間にか彩月先輩を目で追うようになっている。



俺の中に積もる罪悪感と空虚感。


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