我等オカ研特捜部
 五人?は長い間話し込んだ。

 日が暮れると石灯籠にタタミが鬼火を吹き、青白い炎が灯った。
 
 どうやら私達を食べないらしく、その代わりに定期的に美味しい物を運ぶ事となった。

谷口
「じゃあ変わりに話しを聞かせて貰えます?」
 
 助かったと思った荒木と私は谷口の発言に驚いた。
 
 さっきまで泡を吹いていた男の口から出たとは思えない程大胆な交渉だった。

アヤメ
「よきかな、その代わり外の情報を持ってきーな」

谷口
「いい取引でしたね!じゃあ今日はこれで」

タタミ
「もう眠いわ」

アヤメ
「そやな、今日はもう寝よか、あんたら裏切ったら食うてまうからな」

荒木
「滅相もない」

小山
「思いもつきません」

アヤメ
「ほなこれ持ってきな」
 
 鬼の母は髪を爪でちぎり、私達に渡した。

アヤメ
「これ体に付けといたらここの事忘れへんから、ほなお休み」
 
 そういうと二人は社に消えて行った。
 
 三人は逃げるように壁を越え、駅まで走った。
 
 コンビニの光がとても暖かく感じた。

小山
「信じられない、ヤバくない?」

荒木
「どうする?寝れねーよ」

谷口
「おじいちゃんに聞いてみる」

小山
「ねえちょっとみんなで話そうよ」

谷口
「アニメ終わちゃったよ」

荒木
「リアルタイムで見たかったなー」

谷口
「リアルタイムでの更新が…てかゼロ!見てないって言ってたじゃねーか」

小山
「川まで行こう!近いし!

 ちょっと語ろう少年!」
 
 その晩三人は遅くまで桂川の土手に座り騒いでいた。

小山
「でも谷口が泡吹いた時は絶対絶命だったよね!」

谷口
「あれは隙を伺って助ける為に、重曹を飲んだんだよ!
 
 必死だったんだぞ!」

荒木
「確かに、タタミちゃんが去っていった時1人で逃げなかったし」

小山
「しかも妖怪相手に交渉もしたしね」

谷口
「必死だったんだよ!」

荒木
「馬鹿にしてないですよ?本当に尊敬しました」

小山
「よっさすが隊長!」

谷口
「おう、分かればいいんだよ」

荒木
「ピーナッツの魔方陣はどうかと思ってましたけど」

小山
「小鬼に簡単に破られたしね!

 あはは!」

谷口
「だから必死だったんだよ!」
 
 その晩、私達三人は未だに信じられない事実を突きつけられ、その興奮はちょっとやそっとでは収まりそうも無かった。
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