我等オカ研特捜部
 またしても事の発端は私だった。

 正確には私の父であった。

 夏の終わり頃、京都の北に位置する川に家族で泳ぎに行くと言い出したのだ。

 後から谷口に聞いて知ったが、どうやらそこは昔の自殺名所だったらしい。
 
 そこに行くまでに心霊スポットとして有名なトンネルと寺があったが私はそれも知らなかった。

 話を聞いて確かに、崖は切り立ち、落ちたら危険ではあるとは思っていた。
 
 帰りにトンネルを潜るバスを待たず山を歩いて越えようという話しになり、私達家族はハイキングがてら歩いて峠を越える事にした。
 
 来る時にはトンネルでは一瞬だった道が、山の上を歩くと途方もない長さで、特に小さかった私には結構辛い思い出だった。
 
 でも、そんな思い出より心に残ったのは2つの家だった。
 
 正確には2つの家の間にある空間。
 
 その家は建てられている途中で建設中止になったのであろうか、コンクリートの外壁が中途半端に残されていた。
 
 その家に挟まれた空間。
 
 一見したら何もないコンクリートの打ちっぱなしの床、そして奥に壁。
 
 私は先に進み続ける親に手を引かれながらもそこから目が離せなかった。

 暗いその闇に…

荒木
「こーわーいーよー」

谷口
「寝れねーよ!」

荒木
「やーべーよ」

谷口
「鬼社と一緒のような感じか?」

小山
「うん、何だかふんわりした感じ、でも去って行く時寒気を感じた」

荒木
「アヤネさんに付いてきて貰おうや」

谷口
「外に出れないって」

小山
「でも行くんでしょ?現地調査」

荒木
「やめとこや、そこの近く有名な心霊スポットやん」

谷口
「ああ危険だな」

小山
「友達増やすんじゃ無いの?」

谷口
「危険な友達はいらない」

荒木
「人間の友達が欲しい」

谷口
「おいっ!ゼロ俺は?」

荒木
「隊長は親友ですが?」

谷口
「荒木…お前、あれ?なんだろうこの水。

 目頭が熱いや」

小山
「おいっ情報提供者のあっしは?」

荒木
「霊感少女って感じ」

谷口
「トラブルメーカーってイメージ」

小山
「アヤメさんに言い付ける」

荒木
「ああっ優しく叱って欲しい」
谷口
「優しく諭されたい」

小山
「そんなあんたらの願望はどうでもいい」

荒木「ゲスい女」
谷口「全くだ」

 私がテントを怒り任せに引き剥がそうとしたので次の休みに捜索が決定した。












 
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