我等オカ研特捜部
 私は二人をバス停で待っていた。

 夏の終わりの涼しい秋風が吹いている。

 京都でも一番賑わっているのではないかと思われる中心部で二人を探したが、待ち合わせ時間ギリギリでも姿を確認出来なかった。

 しかし時間になると後ろのビルから頑張ってお洒落した感満載の二人がやって来た。

 喫茶店でコーヒーを飲んでいたらしい。
 私を見ながら。

小山
「誘えよ!」

谷口
「滑稽だったよ、キョロキョロ探すエースの後ろ姿は」

荒木
「そんなに会いたかったのか?」
 
 ビルの宙二階から私を見ていたらしい。

小山
「せっかくお弁当作って来たのに、やらん!」

谷口
「弁当?女子の?手作り?

 もうオカルトどうでもいい」

荒木
「俺も、ハイキングしよう、青春しよう」

小山
「食べたいかね?現役女子高生のお手製弁当を」

谷口
「悔しいが食べたい。

 二度と味わえない味だろう」

荒木
「悪かったよ、下さい」

小山
「ふふふ、味は自信無いけど」
 
 私は照れ臭そうに笑った。

谷口
「我々には神々しすぎる」

荒木
「私服も可愛い、これが正しい高校生活か」

小山
「ちょっと馬鹿にしてるやろ?」
 
 私はムッとした。しかし勝ち誇る様に二人が語った。

谷口
「お前は俺達がどれだけモテないか知らんだろ?」

荒木
「オカルト?きもーいだぞ!」

 罪悪感の沸いた私は少し二人を可哀想に思った。

小山
「期待してもらって悪いけど、ただのサンドイッチなんだけどね」

谷口
「サンドウィッチ大好き」

荒木
「僕も米屋だけどサンドウィッチ大好き!」

小山
「発音が!」

荒木
「バス来たぞーい!」

小山
「恥ずかしい!」

谷口
「秋、バスで出発。

 紅葉を眺めハイキング、サンドウィッチにオカルト。

 これ以上を望むなら、温泉に入りたい」

荒木
「いいよ、凄くいいよ!リアル充実!」

小山
「恥ずかしいって、ちょっと黙って!」

 私達は仲良くバスの一番後ろに陣取った。




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