我等オカ研特捜部
 嵐山を抜け、山道を上ってバスは進んだ。

 終点近いバスの中には私達意外誰もいなかった。

谷口
「そろそろ例の寺とトンネルだゼロ幽霊透写器スタンバイ!」

荒木
「いつでもどうぞ」

谷口
「…今だ!」
 
 谷口の指差しの指示と共に荒木のカメラが火を吹いた。

バスの運転手
「写るといいねー」
 
 運転手に話しかけられ恥ずかしくなった二人は急に黙ってしまった。

バスの運転手
「終点です。

 お忘れ物の無いようにお気をつけ下さい。
 
 勝手に付いていくものもあるかもしれませんが…」

谷口
「ひー」
 
 ノリの良い運転手に別れを告げ、小さなバスターミナルに降りた。
 
 ターミナルの横には観光客用の食事処があり登山者用の杖が売られていた。
 
 季節外れの風鈴がなっている。

小山
「さっきの寺とトンネルっが言ってた心霊スポットなの?」

荒木
「京都に住んでて知らんのか?」

谷口
「この世界じゃ有名だぞ」

小山
「ふーん」

谷口
「せっかくここまで来たんだしもういっちょ行くか!」

小山
「どこに?」

荒木
「この先に有名な幽霊屋敷があるんだよ」
 
 急な坂道を降りると川の流れる音が聞こえた。
 
 道の脇は険しい崖になっている。

 それでも普段来ない場所に少しワクワクしていた。

谷口
「な?自殺するにはもってこいな高さだろう?」

荒木
「隊長!ここがきゅーんってします。これが霊感か」
 
 荒木は股間を握っていた。

谷口
「それは軽度の高所恐怖症だ」

小山
「あれがそう?」
 
 川辺の崖に沿って古い廃旅館が建っていた。

谷口
「そうだ、間違いない昨日調べた奴だ」

荒木
「エース、何か感じるか?」

小山
「特に何も」

谷口
「そっそんな馬鹿な」

荒木
「有名なんだぞ?くそ!ここは俺の出番か」

谷口
「待てよゼロ、待てーギリギリまで引き付けてからのー今だ!」
 
 荒木がカメラを連写した。

登山者「こんにちはー」
 
 反対側から登山者がやって来たので二人は一はしゃぐのをやめ挨拶を返す。

谷口・荒木
「あっこんにちはー」

小山
「自分らって、めっちゃ内弁慶やな」

谷口
「我が高校の看板を汚さん為だ」

荒木
「なんて愛校心」

小山
「変だって自覚あるなら普段からやめーや、ふふふ」

 初めに合った頃の疲労感より最近は楽しさを感じていた。


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