我等オカ研特捜部
 オカ研は前までは週3回だけの活動しかしていなかったらしいが、私が来てからはほぼ毎日三人が集合していた。

 家族にも話せない秘密を共有し、誰も信用してくれない話を思う存分したかったからだ。

谷口
「やっぱ誰か鬼社連れてかないか?」

荒木
「事を荒立てんのはやっぱ良くないんちゃう?」

小山
「せっかく二人で静かに暮らしてんのに。

 約束したやろ?

 秘密にするって」

荒木
「せやって、襲われる心配がなくなったって言ってたろ?」

谷口
「でも何かあったら危険だろ?」

荒木
「総督連れてく?」

谷口
「駄目だよ奥さんいるんだから、巻き込めないだろう?」

小山
「総督ってだれ?」

谷口
「岡田先生だけど」

小山
「えー岡田先生って結婚してんの?」

荒木
「知らんかったんけ?」

小山
「だってあの殺し屋岡田でしょ?」
 
 古典の担当の岡田は常に無表情で有名だった。
 
 決して感情を外に出すことは無く、笑った所はみた事がなかった。
 
 しかも野球部のエース候補の腕を折ったという噂まであった。
 
 生徒を二人以上は殺しているとも…
 
 目付きが鋭く考えが読めない岡田先生は生徒の間からヒットマンと裏で呼ばれていた。

荒木
「総督を悪く言うなよ」

小山
「でも生徒の腕を折ったって」

谷口
「あれは俺達が苛められてて助けてくれた時、勝手にびびった同級生が階段からおちたんだよ」

小山
「そんな事件あったっけ?

 でも怖くない?」

荒木
「実は面白いんだよ」

谷口
「それにどちらかというとこちらサイドの人間なんだよ」

小山
「どこが?」

荒木
「説明してやるよ、会いにいこうぜ」

小山
「今から?」

谷口
「いる場所は知ってるだろ?」

小山
「放課後はいつも誰もいない教室で仕事してるって」

荒木
「他の先生と馬が会わないんやって」

谷口
「先生達からも変わり者って言われてるし」

小山
「そうなんや。

 これも出さなあかんし行こっか」

谷口
「えー入部届けやん!入ってくれんけー?」

荒木
「エースー」
 
 どさくさに紛れて抱きつこうとした荒木を私は蹴った。

荒木「変な意味は無い」
谷口「年長でも部長は譲らんぞ」
小山「さっさといこうよ」
 
 二人が喜んでくれたようで私も嬉しかった。

< 26 / 52 >

この作品をシェア

pagetop