我等オカ研特捜部
 粉々になったお菓子を食べながら荒木が語りだした。

荒木
「稲荷神社はどうだ?」

谷口
「面白そうだ」

小山
「それは知ってる」
 
 稲荷神社は京都の南に位置する場所にあり、山一つが神社になっている。

 あらゆる企業の寄贈により通常の神社に見られない程の鳥居が頂上への参道を朱く飾っている。

 頂上への途中途中にも多くの神社があり、参道は幾つも道が別れ、初めて行った人間が全てを網羅するのは不可能であろう程の大きさだ。

荒木
「裏道に行ったけどあそこはヤバいぞ?
 
 あの鳥居の数は相当邪なもんを封じ込めているに違いあるまいよ」

小山
「私も行った事あるけどお稲荷さんはの裏道は怖いってゆうより綺麗って感じだけど」

谷口
「小山の感覚は鋭いからなーてか商売の神様だろう?」

荒木
「しかしそれは表の顔でしかなかった…、それにあれだけ途中に神社やらあったら一ヶ所位は何かあるだろう」

小山
「えらく熱心だわね」

谷口
「じゃあ行くか?」

荒木
「よっしゃー!行きたかったんだよ」

小山
「一体何なん?」

荒木
「お稲荷さんは狐だろ?
 
 狐は油揚げ好きだろ?
 
 そんな狐の奉る神社のふもとにある稲荷寿司とキツネうどんが不味い分けないだろう?」

小山
「そら徹底的に調査する必要があるわね」

谷口
「あそこの名物は雀と鶉の丸焼きなんだけどな」

荒木
「あれは骨が多くてあまり好きじゃない」

小山
「雀は可哀想」

荒木
「それに雀じゃなくてヒヨコ使ってる店だってあるって噂だし」

谷口
「よしっじゃあキツネうどん食いに行くか」

小山
「よーく染み込んだおつゆが滴る厚揚げ」

荒木
「甘いお揚げにゴマが香る稲荷寿司」

谷口
「てか、おいっ!

 いつからオカ研はグルメ研究会になったんだ?」

小山
「地方風俗の研究という崇高な目的をねじ曲げたくせに」

荒木
「怖い怖い甘いキツネ怖い」

谷口
「うーむ。まあ取り敢えず出発!」

 放課後で小腹が減っていた私達は直ぐ稲荷神社に向けて出発した。


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