愛しい人
悪阻は、3ヶ月くらいで落ち着いてきた。やっと辛い時期を乗り越えた!

赤ちゃんもスクスク成長中!現在、約600g。

無事に検診を終えて、その足で厩舎に向かった。


「彩、体調は大丈夫?」

私を見つけるなり、お父さんがとんできた。


「やっと落ち着いたよ!ねぇ、明日から厩舎に来てもいいかな?」


「オマエが大丈夫なら。まぁ、馬に乗ったり、重い物を持つのはやめてくれよ」


「うん」


やっぱり、私は馬のそばにいるのがイイ。


さっそく、厩舎スタッフにご挨拶。激しい運動はできないけど、妊婦は病気じゃないし、少しでも役に立ちたいと思った。

「あれ…彩?」


久馬くんが私に声をかけてきた。


「病院、行ってきたよ。順調だって」


「そうか…で?」


「体調も落ち着いたし、明日から厩舎に来ようと思って」


「は?オマエ、馬に跨る気か?」


「馬には乗れなくても何かできるかな…って」


「やめておけ」


意外だった。
久馬くんなら『オマエらしいな』って言ってくれると思ったのに…。


「でも…私、馬のそばにいたいの…」


「…勝手にしろ!!」


久馬くんは、怒って厩舎を出ていった。


…久馬くん…。


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