「お隣さんで幼馴染は恋の対象になりえますか?」
聞きたくなくても聞こえてくる話…統一郎は綺麗な人が好きなんだもん、仕方ない。日替わりで女の子連れてるんだから、一緒に帰って来るのも当たり前だけど。
なのに何かイヤ。私と初めてエッチしたベッドでほかの子と、なんて…そんなのイヤ…。

二階にある私の部屋のベランダは統一郎の部屋のベランダと三十センチも間隔はない。高校に入って統一郎に避けられてるって思ってからは、ずっとカーテンも閉めたままにしてある。誰かと一緒のところなんて陰だって見たくないし……。

部屋に戻って着替えをする。部屋着は白フリルが可愛いお気に入りの膝上キャミワンピ。最近安カワアイテム探しが好きで、偶然見掛けて色違いで二枚、即お買い上げ。
ベッドに腹這いに寝転がって知美に借りた雑誌を読み始めると、雑誌の特集に【女の子世論調査】があって、彼と付き合いだしたきっかけとかその彼との初キス・初エッチの事とか…いろいろ載ってた。

「…そんなもんなのかな…やっぱり…」
「随分だな」
「っ!?」

躯を起こすとシャツのボタン全開にベルトだけされてない制服姿の統一郎が、私の部屋のカーテンを開けて入ってきた。

「っ…鍵……」
「お前のお袋さんがお前がいない間に、カーテンも窓も開けて部屋の換気してんだよ。今日は閉め忘れたんだろ」

お母さんっ!強盗に入られたらどうするつもりなわけ!?統一郎だからよかったようなものの…。

「……な、何か用…ですか?」
「………」
「統い…岸田先輩…?」
「…ほのか」
「っ…はい」
「男でも出来たのか…んなモン読みやがって」
「っ…岸田先輩には関係ありませんから」

やっぱり怖い…顔が上げられなくて俯いちゃう。二年で統一郎はすごく変わっちゃったから…身長も声も…私が知らない統一郎になっちゃってる。

「関係ねぇ、か…松岡だろ?ヤリ捨てられんのが関の山だな…お前じゃ」

ヤリ捨て……。

「…そんなの…そんなの岸田先輩とやろうとしてる事同じじゃないっ!」
「っ…」
「子供っぽい私に構ってくれる人なんてレアなんだからっ!化粧して服変えて…そんな事でいいんだったら…わかってたらそのくらいするんだからっ!」

私は顔を見ずに統一郎を部屋からベランダに押し出した。

「日替わりで女の子連れて歩いて部屋に上げるような統一郎には私の気持ちなんてわかんない!絶対わかんない!大っ嫌い!統一郎なんか大っ嫌い!」

ベランダの鍵を閉めてカーテンも閉め切った。

「嫌い嫌い嫌い嫌い嫌いっ……っ…き……好、き……好き…」

やっぱり…まだ、嫌いになれない…。統一郎…好き――。

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