男の腰には先程の二人と同様に刀が下げられていた。

その刀に男の手が掛けられると、子猫はまるで叶を守るかの様に男に向かって飛び掛かった。


「なっ!」


刀に掛けられた手の甲を微かに傷付けられた男は逆上する。


「猫の分際で!」


刀を抜き、子猫に向かい振り上げる。


「やめてーっ!」


叶は必死に飛び出し、男の足を掴む。


「貴様から先に死にたいのか!」


その怒りの先が叶へと向けられ、男の足元に在る叶へと刃が降り下ろされる。


ー死ぬー


ここで自分の人生は終るのだと、叶は固く目を閉じた。
< 16 / 55 >

この作品をシェア

pagetop