声
キンッ
金属のぶつかり合う音。
その音に叶は恐る恐る目を開く。
「え……?」
見知らぬ男が逆上した男の刀を止めていた。
「忠告されていた筈だ。」
叶へと視線だけを向けそう言うと、逆上した男の刀を押し返した。
「貴様!何奴!」
逆上した男が再び刀を振り上げる。
「はい、そこまで。退いた方がいいよ。」
ふと聞いたことのある声が暗闇の向こうから聞こえた。
「あーあ、やっぱりいいところだけ持っていくんだから、斎藤君は。」
姿を現したのは土方と沖田。
沖田は叶の横に立ち腕を掴むと勢いよく立ち上がらせる。
「だから危ないよって言ったのに。」
さっきまで逆上していた男は突然現れた沖田を見て顔色を変えた。
「お、お前は……」
「僕を知ってるの?だったら早く消えなよ。今すぐね。じゃなきゃ……」
「ひ、ひぃぃ」
男は脱兎の如く暗闇に消えていった。