その頃、屯所内の土方の部屋に近藤とその場に居た沖田、斎藤が集まっていた。

叶が落とした荷物を中央に近藤と土方、向かい合う様に仔猫を抱いた沖田、斎藤が座っていた。


「ふむ……その女子さんが落とした荷物がこれか。とは言えトシ、何も蔵に入れる事はないであろうに。」

「ほら、近藤さんだってそう言ってるじゃないですか。あんなか細い女の子なのに。」

「何言ってやがる。あんなに怪しい奴を上げる事はねえ。」


三人が言い合いをしている間に黙っていた斎藤が叶の荷物をガサガサと開け始めた。

スーパーのビニールの聞き慣れない音に、三人がビクリと斎藤を見る。


「ああ、叶ちゃんの荷物か。一体これは何でしょうね?」


沖田がカレールーを持ち上げる。

中身は見慣れない物ばかりで、全員が首を傾げる事となる。

その時、沖田の抱えていた子猫が短く一鳴きし、するりと沖田の腕から抜け出した。


「あっ、こら、何処行くの?!」


子猫は構わず障子戸の一番下を破って出ていった。


「おい、総司!どうしてくれんだ!」

「知りませんよ。貼り替えればいいだけじゃないですか?」

「お前なあ、しゃあしゃあと……おい、聞いて……」


土方の言葉を余所に沖田は子猫を追い掛けて出ていった。
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