「はぁぁぁ~、終わったー。」


ほぼ定時に職場を出て駅に向かう。

帰宅前にスーパーに寄り、食料品を買い込む。

毎月同じ事の繰り返し。

満杯になった袋3つを重そうにぶら下げながらアパートへと向かう。


「これで次のお給料ギリギリまでやってかなきゃなぁ。」


就職が決まって直ぐに家を出た。

あの家には一秒たりとも長く居たくはなかったから。


「しっかし……カレーにハヤシにシチューのルーとか……自炊って呼べる買い物じゃないなぁ。けどさ、一人だと相当食い繋げるんだもんね。飽きるけど。」


ぶら下がった袋を上から覗き呟く。

公園の角を曲がればアパートが見えてくる。

今日も同じ1日が終わる。

そうとしか思っていなかった。

ほんの数分後にその身に起こる事など気付く筈もなくーーー
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