ーけど、もうこれ以上黙ってるのもムリそうな雰囲気よねー



叶がチラッと土方を見る。



ーうん、ムリ決定だね。あの顔つき。見知らぬ私ですら分かるもんー




「あの…お話する前に5分だけ時間もらえませんか?見張りの人が居てもいいので。」




叶が何気なく言った言葉に全員が首を傾げる。




「ごふん?何だ、それは。」



小首を傾げながら原田が尋ねる。



「え?ご、5分ですけど…あっ……」




ーもし本当にタイムスリップなら、この時代には分刻みってのはないんじゃない?ー



「えーと…少しだけ外の空気吸ってきたいんです。きちんとお話するために。」

「駄目だ。」



間髪入れず土方が答える。



ー早すぎじゃない?ー



うなだれる叶。



「いいんじゃない?見張り居てもいいって言ってるんだし。」




突然開け放たれた障子戸からの声。




「総司、お前が決める事じゃねぇ。」

「見張り、居てもいいんでしょ?」




土方を無視して沖田は中央に座っていた叶を覗き込む。



「は、はい。」

「総司!!」




怒鳴る土方を尻目に沖田は叶の手を取る。
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