生徒会の恋愛事情


「沙羅ちゃん、今日も可愛い!
あ、弥君?
髪のセット終わった?」


右手を見ると、着物を着た弥先輩が入ってきていた。


「はい。
小百合さんにやってもらいました。
もう全員終わったようですから、香里奈は受付の応援に行って下さい。」


「分かった。
じゃあ沙羅ちゃん、また後でね。」


香里奈先輩は小走りで出ていく。


あたしは、弥先輩と二人きりになってしまった。


「沙羅ちゃん、先に舞台の方に移動してくれる?
僕はちょっとPTAの方に挨拶に行かないといけないから、一緒にはいけないんだ。」


そう言いつつ、弥先輩は舞台まであたしを見送ってくれた。


やっぱり紳士だな、弥先輩。


比べるのは申し訳ないけど、光唆だったらこんな優雅にエスコート出来ないと思う。


「ありがとうございます。」


「いえ。
今日もよろしくね。」


弥先輩は舞台から立ち去ろうとする。


あたしはそんな後ろ姿をちょっとだけ眺めることにした。


「沙羅ちゃん!」


見えなくなる直前に、弥先輩が振り返った。


「今日はまた一段と綺麗だね。」


そう言って弥先輩は、綺麗な微笑みを残して行ってしまった。


あたしは舞台の上でたった一人、顔を赤らめて座っている。


どうしよう、綺麗って言われちゃった…


お世辞だとは思うけど、あたしはドキドキして、一人俯いてしまったんだ。



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