生徒会の恋愛事情


「…とりあえず一つ伺いたいのですが、先生が打った程度の薬なら、体に異常が出ることはないんですよね?」


「それはないから安心して。
それぐらいはこっちもコントロールできるわよ。」


「…でも、そのせいで部分的にしか効かないものを打った、と。」


「そう。
神経で繋がってるところが負傷しないかぎり大丈夫って思って。
…そしたらこけちゃったわけだけど。」


「そこですよ、一番言いたいのは。」


それなら何で説明してくれなかったのか。


知らせてくれていたら、生徒会だって最大限の配慮が出来た。


走るシーンを全部歩くものに変える事も出来た。


「どうして誰にもその事を説明してくれなかったんですか?
せめて沙羅ちゃんには伝えるべきだったと僕は思いますよ。」


「それはさ…言い訳にしかならないけど、あんまり怪我のこと気にしてほしくなかったから。
ほら、あんまり色んな事言うと気になっちゃうじゃない。
だから、言わなかったの。
でも…せめて神崎には言うべきだったって今反省してる。」


「沙羅ちゃんじゃなくて僕にですか?」


「そう。
お姉ちゃんの方がいない今、平井のこと一番気にかけて動くのは神崎でしょ?
だから神崎にはちゃんと言えば良かったって。」


「僕だけじゃないですよ。
今回の舞台は沙羅ちゃんのおかげで上演できているんです。
怪我してるのに無理してくれて…」


「だから!
そういう問題じゃないの!
生徒会役員としてじゃなくて、個人の問題!
男子高校生、神崎弥君の話!!」



< 237 / 385 >

この作品をシェア

pagetop