生徒会の恋愛事情
「それに今、こうやって二人でいられてるじゃないですか。」
それだけで十分なの。
だってこんな素敵な人が、私だけのために時間を作ってくれてるんだよ。
本当は凄く忙しいはずなのに。
「…凄く可愛い事言うんだね。」
切羽詰まったような弥先輩の声が耳元から流れてくる。
それは、いつも年上の余裕であたしをリードしてくれる弥先輩とは違っていて、あたしは少し戸惑う。
だけど、戸惑っている暇なんてなかった。
気付いたら、弥先輩の右手があたしの顎を掬い、視界が右に動いた。
次の瞬間、視界いっぱいに端正な顔が映り、あたしの唇には弥先輩の唇が優しく押し当てられた。
「ごめん、沙羅ちゃんがあんまりにも可愛くて。」
唇が離れた後、弥先輩はあたしを放し、目を反らして言った。
そんな弥先輩を見てから、なんだかあたしも恥ずかしくなってきて、弥先輩の
顔が見れなくなった。
でも、弥先輩のことをもっと見ていたくて、あたしはゆっくりと弥先輩を見ようとした。
だがその前に弥先輩がもう既にこっちを見ていて、さっきのキスみたいにあたしの頬に優しく触れた。
「沙羅ちゃん。」
「はい…」
「僕と付き合ってくれてありがとう。
月並みな事しか言えないけど、こんなに幸せなクリスマス初めてだよ。」