生徒会の恋愛事情


あたしが思っている事が弥先輩の口から流れてくる。


同じ気持ちを抱いてくれている事が、弥先輩の少し照れた微笑みが、あたしの心を満たしていく。


来年もこんな風に過ごせたらいいのにって、贅沢な願いが頭を過る。


「それからこれ、クリスマスプレゼント。」


弥先輩はずっと隠し持っていたのだろうか。


愛らしいオレンジ色の袋をあたしに差し出す。


「開けてもいいですか?」


「勿論だよ。」


檸檬色のリボンをほどくと、上品だけととても可愛らしいピンクの手袋が見える。


「何欲しいか分からなかったけど、沙羅ちゃん、いつも手袋してなかったから。」


そう、弥先輩の言う通り、あたしは手袋を持っていなかった。


なんとかしてマフラーは買ったけど、手袋まで買えなくて今年は諦めていた。


弥先輩、あたしのことよく見ててくれたんだ。


「嬉しいです。凄く。…でもごめんなさい、あたし何にも用意してないんです。」


思えば今日の出席が決まってからずっと、パーティーでちゃんとしなきゃって気持ちでいっぱいだった。


弥先輩のお客さんなのに、弥先輩に恥をかかせたくなかったから。


言い訳になるけど、プレゼントを考える余裕なんてなかったんだ。


こんなにも好きな人との初めてのクリスマスなのに。




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