生徒会の恋愛事情


…もう!


あたしったら何考えてるのよ!?


弥先輩はかっこいいし、素敵な先輩だけど…


こんな家に住んでるような人だよ、釣り合うわけないじゃん。


あたしは首を振って、自分が考えていた事を忘れようとした。


「どうしたの?」


「いえ、何でもないです。」


上手く言えたか分からないけど、あたしはなんとかその場を乗り切った。


それからあたしは弥先輩と一緒に美味しいご飯を食べて、熱を測った。


もう体調も悪くないし、熱も下がったという事で、あたしは家に帰る事になった。


色々あって、弥先輩の従妹から借りる事になった洋服が、今度クリーニングに出してから返す事になり、結局その服を着たまま帰る事になった。


「本当にありがとうございました。
皆さんも、ご迷惑かけてすいませんでした。」


あたしは見送りに来てくれた弥先輩やメイドさん達に頭を下げた。


「いえ、私達は当然の事をしたまでですから。」


「お体は大事にしてくださいませ。」


そう言ってくれるメイドさんは、あたしの着替えを手伝ってくれた方々だ。


「沙羅ちゃん、体調の良くない時はちゃんと言ってね。
それでちゃんと休むんだよ?」


「はい。」


あたしはもう一度お礼を言ってから、玄関を出た。


だから、あたしは知らなかったんだ。


あたしがいなくなった後、メイドさん達が噂してた事。


弥先輩が敬語で話さない相手って、幼少期を除けば初めてじゃないかって。


もしかしたら、弥先輩が恋をしたのではないかって。


それはあたしも弥先輩も知らない事で繰り広げられていた、内緒の話。



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