生徒会の恋愛事情


「否…俺は弥と華羅にやってもらいたい。」


「…あたしが?」


ここの生徒会が特別なのにはそれなりにわけがある。


日本の経済を支える政治家やCEO、資産家の家の子供達が、世間の状況を見ながら、集団を動かす力を養う、それが目的で作られた特別なものだ。


だが、毎年お嬢様や御曹司が一定数入学してくるわけではない。


実際、今の3年生は2人、2年生は3人、1年生はいない。


バラバラだから、普通の子も生徒会に入れる。


いわば普通の子は、定員を埋める為に入っているようなものだ。


そして、今の2年生の数合わせがあたしだ。


当然、来年は残れないと思っていたし、去年みたいに普通の高校生に戻るのだと思っていた。


「あたしが残ってもいいんですか?」


「ああ。
…その話は香里奈や小百合も含めて今度話そう。
本題に戻そう。
沙羅にきつく当たったのは、そういう理由だ。
華羅の留学に反対しているからではない。」


「え?」


「俺は、行っていいと思う。
というか、行くべきだ。
俺達は小さい頃から当たり前のように海外に行っている。
でも、華羅は行った事がなくて、行きたいのだろう?
なら行った方がいい。」


「でも、生徒会は?
沙羅に言っていた忙しくなる話は本当ですよね。」


嘘でない事は、数か月だけど生徒会にいる事で分かる。



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