ただ、名前を呼んで

熱いコーヒーに砂糖を溶かしながら僕は静かに言う。立ち上る温かな湯気に乗せて。


「俺は強い男になるよ。」


祖父、それに祖母が僕の方をゆっくりと見る。

熱いコーヒーを口に含み、口内を潤す僕。
そして改めてはっきりと告げる。


「見返りは求めない。お母さんを守れるような、強い男になりたいんだ。」


祖父も祖母も温かく頬を緩めて頷いた。

頑張るから見ていてね。
じいちゃん、ばあちゃん。
お母さん。

お父さん。
< 117 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop