ただ、名前を呼んで
何か楽しい本が良いな。
かと言って児童書には興味がない。

宛もなくフラフラと本の壁の間を擦り抜ける。


そうして気付いたら僕が居たのは、医学書のコーナーだった。

目に付いたのは、精神病についての本たち。

足が動かなくなり、しばらくそれらをじっと見つめる。

手に取ってみようかと、腕に力を入れてみるけど、ダメだった。

僕の心が全力で拒否している。

ダメだ、ダメだって。

僕は医学書のコーナーから目を逸らして立ち去った。
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