ただ、名前を呼んで

結局僕はファンタジーの物語を読むことにして図書館を出た。

医学書を手にしようとしたことは始めてじゃない。

母が良くなるヒントがあるかもしれないって、調べようとしたことだってある。

だけどいつも失敗に終わる。

知りたくないから。
認めたくないから。

それ以上に、母が『異常』であると考えてしまった自分自身に嫌気がさしたから。

母は何も変じゃないんだ。
ただ人より少し心が弱かっただけなんだ。

僕は母の居る施設へと急いだ。
< 135 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop