ただ、名前を呼んで
・無力な僕
帰宅してそのまま僕は自室へと向かう。
祖父母に「ただいま」と言う事もしないで。
ベッドに倒れこむように横になると、また目からは涙が溢れた。
母の心が戻ることを、僕は誰よりも望んでいた。
もしも僕を知らなくたって、知っていけば良いんだと思ってた。
なのに、拒絶されるなんて思ってもみなかったんだ。
母を守りたいと、あんなに強く思ったのに……
僕はこんなにも弱かった。