ただ、名前を呼んで

なんだか同じ事の繰り返しだ。

母が少しずつ良くなるたびに僕は情けなく動揺する。

そして心を持ち直してまた通う。

何度持ち直しても、どうして繰り返すのだろう。

どうして強く持った心のままで居られないのだろう。


寝そべったままベッドから水色のカーテンに手を伸ばす。

少しだけずらすと、外は次第に照明を落とし始めていた。

近頃は日が長くなったけど、やっぱり暮れてゆく時間は切なくなる。

いつか祖父母と見た夕暮れは、この上なく綺麗だったけれど。
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