ただ、名前を呼んで

それほどに求める父が死んだ事実を、母は受け入れられるだろうか?

一度は受け止めきれずに壊れた、母の心。


神様が居るなら、お願いです。

母に強い心をあげて。



ある日図書館から帰った僕に、落ち着いた声で祖父が告げた。


「明日カスミさんがあの施設を出ることになった。」


とっくに覚悟はしていた。
だからあの日母に「またね」って言ったんだ。

辛くなんかない。
悲しくなんか、ない。

いつかきっとまた会える。
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