ただ、名前を呼んで
僕の手元に残されたビデオテープ。
父と母の生きていた証。
愛し合った記録。
僕はビデオデッキの電源を入れ、ビデオテープを差し込んだ。
僕は高鳴る心臓を抑え、丁寧にリモコンで操作する。
すると画面にはどこかの公園の映像が映し出された。
緑の芝生が一面に広がり、そばには川が流れてる。
テープが古いせいか映像が少し悪い。
小さく音声が聞こえたので、僕はボリュームを上げる。
『……でしょ?』
聞き覚えのある、懐かしい声だ。