ただ、名前を呼んで

“大好きよ、拓海”


息が出来ないくらいに胸は苦しいけれど、なんだか解放されたみたいな気分だ。


忘れていたのは母だけではなかったんだ。

僕だって忘れていたんだね。

母が僕を撫でてくれていたこと。
愛してくれていたこと。
そして、ちゃんと名前を呼んでくれていたこと。


あぁ、どうしよう。
こんな気持ち。

沢山のありがとうが溢れて来る。

産んでくれてありがとう。
愛してくれてありがとう。

僕は『僕』を大切にするよ。
< 229 / 234 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop