ただ、名前を呼んで
祖父も紅茶に口を付け、暫くの沈黙の後に口を開いた。


「そうだな。もしも拓海が傷付いたなら、また俺達が支えてやればいいんだもんな。」


祖父はまたいつもの穏やかな目で僕を見る。
祖母も柔らかに微笑む。

あぁ、どうしようもなく、涙が溢れそうだ。
喉が詰まるのをグッとこじ開けて僕は言葉を発する。


「ありがとう。」


いつか僕が社会に出たら、きっと僕が祖父母を支えよう。

いつか別れの時が来たなら、僕が最後に手を握ろう。

僕はそっと誓った。
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