ただ、名前を呼んで
次の瞬間、僕の目の前の世界が大きく乱れた。
身体に受けた衝撃に目をつぶる。
何が起こったのかすぐに理解できた。僕は祖父に突き飛ばされて床に叩き付けられたのだ。
「まったく。しつけのなって居ない子供だ。」
相手は年輩とは言え、小学生の僕の力ではやはり敵わない。
冷静な話合いも出来ず、抗う力もない。
どんなに強いつもりで居ても、僕は子供なんだ。
僕は未だ幼い自分自身を呪わずに居られなかった。